かわら版Media
インデックス保険
保険業界
事故、損害が起きた際に、その損害をてん補する契約が保険契約であるとされていますが、地震や台風などの発生自体がトリガーとなる契約も出てきています。
事前に支払いの条件となる指標(インデックス)を設定するため、インデックス保険、もしくは、当事者行動の影響を受けることのない指標に基づいた契約(パラメーター契約)であるため、パラメトリック保険とも呼ばれ、通常の保険契約を補完する形で提供されています。
特徴
損害保険契約は損害てん補型の給付方式をとるものですが、インデックス保険はあらかじめ設定しておいた指標を定めておき、その値を超えたイベントが発生した時に保険金が支払われる契約となります。指標とは地震のマグニチュードや震度、降水量などです。
損害の有無に関わらないので、損害の査定が必要なく保険金支払いの速やかな履行が期待されます。契約者は複雑な約款、免責条項に悩まされることなく、補償内容を理解しやすく透明度の高い契約であると言えます。保険金額、支払いの条件となる指標は調整が可能ですし、支払われた保険金の用途も自由であるといったメリットがあります。
保険会社にとっては、査定業務が必要なく運営コストの低減が期待できるといった点や、被害規模にかかわらずあらかじめ決められた保険金が支払われるため、従来の保険契約に比べてモラルハザード問題が起きにくいとも考えられています。
ニーズの高まり
甚大な自然災害発生頻度の高まりから、事業会社の事業中断リスクも高まっています。防衛手段として保険が手配されていますが、保険金支払いにかかる時間が、特に事業中断保険に関して問題視されるケースは少なくありません。事業運営を円滑に進めるためにより迅速な保険金支払いが求められています。
導入事例
自然災害の影響が大きいうえに、経済基盤がぜい弱な途上国の農家の生活を守るためにはインデックス保険の提供が効果が高いとされています。
国による保険業法の違いから、災害通知の必要がない気候デリバティブ商品がインデックス保険として提供されているケースもあります。
SDGsの取り組みとしても取り上げられ、日本の損害保険会社も東南アジアやアフリカで農業経営リスクの軽減のために天候インデックス保険を提供しています。プロジェクトの趣旨から、各地域や国の政府機関、世界銀行などの世界機関、またJICA(国際協力機構)が、提供する商品の開発、導入にかかわっています。
2022年9月 記
貴社の課題をジャパン・リスク・スペシャリストにまずご相談ください。
当社の経験にもとづいた貴社にベストのご提案をいたします。
それぞれの会社、団体の課題は様々です。貴社の状況を伺い、ターゲットを確認させていただき、問題解決に向けて対応策をご提案します。当社が手がけているいくつものサービスメニュー、豊富な実績をもとに貴社にベストの方策をご提示し、実装いたします。
関連記事
-
- 2022.10.28
Blackpandaサイバー攻撃事例紹介
サイバー攻撃による被害の頻度、損害額の増加は顕著です。警察庁によると、令和3年中のサイバー犯罪の検挙件数が12,209件と過去最多を記録し、国家を背景に持つサイ...
-
- 2022.04.27
ウクライナ侵攻による保険損害
日本の再保険契約の更改は、2021年度は大規模な自然災害がなかったため、全般的には前年よりも穏やかな更改交渉でした。しかしながら、ロシア、ベラルーシへの制裁、ま...
-
- 2021.06.29
保険業とデジタルテクノロジー
デジタル庁が新設され、国を挙げてデジタル化推進の動きが高まっていますが、世界のデジタル化競争力ランキングでは日本は27位と低評価で、特に企業の俊敏性が劣るとされ...
最新記事
-
- 2024.10.11
アジアキャプティブカンファレンス2024リポート
9月19日にマレーシア、クアラルンプールでアジアキャプティブカンファレンスが開催されました。 今年で7回目を迎えるこのイベントはマレーシア, ラブアン...
-
- 2024.06.26
ラブアンのご紹介
アジアのキャプティブドミサイルの一つであるマレーシア、ラブアンの存在は次第に知られるようになりました。 弊社は2012年からラブアンでのキャプティブ設立、運用支...
-
- 2024.06.06
創業パートナーであり長年の友人であるアンドリュー・レズリーへの敬意を表して
*この追悼文はAsia Affinity Holding’sの公式ウェブサイトから共有されています。 昨年12月にアンドリューが突然亡くなったことにより、50年...