かわら版Media
人材不足は「福利厚生」で解決できる?中小企業こそ知るべき具体策と共済活用のススメ
共済
はじめに
「求人を出しても応募が来ない」「優秀な人材がすぐに辞めてしまう」
多くの中小企業が、深刻な人材不足という課題に直面しています。少子高齢化による労働人口の減少を背景に、人材獲得競争は激化の一途をたどっており、特に経営資源の限られる中小企業にとっては死活問題です。この根深い問題を解決する鍵、それが**「福利厚生」**にあるとしたら、どうでしょうか。 本記事では、なぜ今、福利厚生が人材戦略において重要なのか、その背景と課題を解き明かします。そして、人材問題の有効な解決策となりうる福利厚生の具体的なあり方、さらには中小企業でも導入しやすい「共済」という選択肢まで、実例を交えながら徹底解説します。人材確保と定着に本気で取り組みたい経営者・人事担当者の皆様、必見です。

1. なぜ今、人材問題に取り組むべきなのか?~深刻化する人手不足の背景と課題~
現在、日本企業、特に中小企業は深刻な人手不足に直面しています。2024年の中小企業白書によると、従業員数が「過剰」と回答した企業の割合から「不足」と回答した企業の割合を引いた「従業員数過不足DI」は、全産業でマイナス圏が続いており、特に宿泊業・飲食サービス業、建設業、運輸業などで人手不足が顕著です [2]。
この背景には、生産年齢人口の減少という構造的な問題があります。企業が成長を続け、事業を維持していくためには、限られた人材をいかに確保し、定着させるかが最重要課題となっているのです。
人手不足は、単に「働き手がいない」という問題にとどまりません。既存の従業員への負担増加、技術・ノウハウの承継の停滞、ひいては事業機会の損失や企業競争力の低下など、経営全体に深刻な影響を及ぼすリスクをはらんでいます。
人手不足がもたらす主な課題と具体的な影響
- 採用難
- 求人広告費の高騰
- 採用基準の緩和によるミスマッチ
- 離職率の増加
- 従業員の負担増によるエンゲージメント低下
- 優秀な人材の流出
- 事業の停滞
- 新規事業へのリソース不足
- 技術承継の断絶
- 企業イメージの悪化
- 「人が集まらない会社」というネガティブな評判
このような状況下で、企業はこれまで以上に「選ばれる」存在になるための努力を迫られています。
2. 人材問題の解決策は?福利厚生が「選ばれる企業」への鍵となる
では、どうすれば人材問題という高い壁を乗り越えることができるのでしょうか。その有力な解決策の一つが、福利厚生の充実です。 帝国データバンクが2025年10月に実施した調査では、企業の約半数(47.6%)が「福利厚生を充実させる予定」と回答しており、特に人手不足が深刻な建設業や運輸・倉庫業でその傾向が強いことが明らかになりました [4]。これは、多くの企業が福利厚生を人材戦略の重要な柱として認識し始めていることの表れです。
なぜなら、現代の求職者、特に若い世代は、給与や仕事内容だけでなく、**「働きやすさ」や「企業文化」**を企業選びの重要な判断基準としているからです。福利厚生は、従業員の生活を支え、働きがいを高めることで、企業の魅力を直接的に向上させます。
福利厚生を充実させることは、以下のような好循環を生み出します。
- 採用競争力の強化: 他社との差別化を図り、魅力的な労働条件として求職者にアピールできる。
- 従業員エンゲージメントの向上: 従業員は「会社から大切にされている」と感じ、仕事へのモチベーションや貢献意欲が高まる。
- 離職率の低下: 働きやすい環境が整備されることで、従業員の定着率が向上し、採用・教育コストを削減できる。
つまり、福利厚生への投資は、単なるコストではなく、企業の持続的な成長を支える未来への投資なのです。

3. そもそも福利厚生って何?~法定と法定外、2つの側面~
福利厚生と一言で言っても、実は大きく2つの種類に分けられます。それが「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」です。
法定福利厚生は、法律で義務付けられている制度で、以下のものが該当します。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 介護保険
- 子ども・子育て拠出金
これらは企業として提供して当然の、いわば土台となる部分です。
一方で、人材戦略において他社との差別化を図る上で重要になるのが法定外福利厚生です。これは、企業が任意で設ける独自の制度であり、その内容は多岐にわたります。
法定外福利厚生の例
- 住宅関連: 住宅手当、社宅・寮の提供
- 健康・医療関連: 人間ドックの補助、フィットネスクラブの利用補助
- 育児・介護関連: 短時間勤務制度、ベビーシッター利用補助
- 自己啓発関連: 資格取得支援、書籍購入補助
- 休暇関連: リフレッシュ休暇、ボランティア休暇
- 慶弔・災害関連: 結婚・出産祝い金、傷病見舞金
- その他: 社員食堂、社員旅行、退職金制度
[出典: 株式会社リロクラブ「福利厚生倶楽部」] [6]
これらの法定外福利厚生をいかに充実させ、従業員の多様なニーズに応えていくかが、「選ばれる企業」になるための鍵となります。

4. 中小企業におすすめの選択肢「共済」とは?
「福利厚生の重要性は分かった。でも、大企業のように潤沢な資金はない…」
そうお考えの中小企業経営者の方も多いでしょう。そこでおすすめしたいのが、福利厚生の一環としての**「共済」**の活用です。
共済とは、特定の団体に所属する人々が掛金を出し合い、病気やケガ、死亡といった万一の事態に備える「相互扶助」の仕組みです。これを福利厚生に応用することで、比較的少ないコストで手厚い保障制度を構築できます。
特に中小企業にとって導入しやすい共済には、以下のようなものがあります。
- 企業内共済会: 企業独自で設立する共済制度。従業員のニーズに合わせた柔軟な制度設計が可能。
- 中小企業退職金共済(中退共): 国が運営する中小企業向けの退職金制度。掛金の一部を国が助成してくれるメリットがある。
- 各種業界団体や地域の共済: 建設業向けの「建退共」や、自治体が運営する勤労者福祉共済など。
これらの共済制度は、従業員に「いざという時も会社が守ってくれる」という安心感を与え、エンゲージメント向上に大きく貢献します。また、新卒採用の内定者意識調査では、「福利厚生制度の充実」が企業選びの重要なポイントとなっており [7]、退職金制度の有無は採用活動においても強力なアピールポイントとなります。

5. まとめ:共済活用で、人材が集まる魅力的な企業へ
本記事では、深刻化する人材問題の解決策として、福利厚生の重要性と、その具体的な選択肢としての「共済」について解説しました。
| 項目 | ポイント |
| 人材問題の現状 | 少子高齢化を背景に人手不足は深刻化。採用難・離職率増が経営を圧迫。 |
| 福利厚生の重要性 | 「選ばれる企業」になるための鍵。採用力強化、エンゲージメント向上、離職率低下に貢献。 |
| 共済の活用 | 中小企業でも導入しやすい有効な福利厚生。少ないコストで手厚い保障を実現し、従業員の安心と定着につながる。 |
福利厚生への投資は、目先のコスト増に思えるかもしれません。しかし、長期的に見れば、それは従業員の満足度と定着率を高め、企業の成長を支える強固な基盤となります。特に「共済」は、中小企業が人材という最も重要な経営資源を確保・育成していく上で、非常に有効な戦略的ツールと言えるでしょう。
次回は、今回ご紹介した「共済」についてさらに深掘りし、どのような種類の共済があり、自社に合った制度をどう選べばよいのか、具体的な導入事例を交えながら解説していきます。 貴社も福利厚生、そして共済制度の導入を検討し、人材が集まる魅力的な企業への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

参考文献
[1] GDXリサーチャ研究所. (n.d.). 中小企業経営に関する実態調査 第3弾.
[2] 中小企業庁. (2024).2024年版 中小企業白書. https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/b1_3_2.html[3] ウェルナレ. (n.d.). 従業員の満足度向上!オフィスに適した福利厚生をご紹介.
[4] 帝国データバンク. (2025).福利厚生に関する企業の実態調査. https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251023-employeebenefits/[5] BOWGL. (2025). 【2025年最新】福利厚生のランキング. https://bowgl.com/welfare/welfare-company/[6] 株式会社リロクラブ. (n.d.). 福利厚生倶楽部.
貴社の課題をジャパン・リスク・スペシャリストにまずご相談ください。
当社の経験にもとづいた貴社にベストのご提案をいたします。
それぞれの会社、団体の課題は様々です。貴社の状況を伺い、ターゲットを確認させていただき、問題解決に向けて対応策をご提案します。当社が手がけているいくつものサービスメニュー、豊富な実績をもとに貴社にベストの方策をご提示し、実装いたします。
関連記事
-
- 2023.06.30
共済
「互いに助け合う」といった意味を持つ言葉である共済ですが、日本では仲間同士でお金を融通しあう頼母子講(たのもしこう)、地域により無尽、模合(もあい)と呼ばれる仕...
-
- 2021.10.26
共済とは
日常生活で起きうる事故等による経済的損失を、組合員である加入者が掛金を出し合うことで補填し合う制度のことで、共済組織によって運営されます。 共済という言葉はもと...
-
- 2023.12.14
企業内共済会の設立方法とメリット
企業内共済会を新設する企業が増えつつあります。 福利厚生の一層の充実を図ることができる企業内共済会は、従業員の働きがいや生きがい、企業の活性化などにつながります...
最新記事
-
- 2026.03.24
人材不足は「福利厚生」で解決できる?中小企業こそ知るべき具体策と共済活用のススメ
はじめに 「求人を出しても応募が来ない」「優秀な人材がすぐに辞めてしまう」 多くの中小企業が、深刻な人材不足という課題に直面しています。少子高齢化による労働人口...
-
- 2026.03.09
世界と日本の比較で読み解く保険業界の構造変革:生損保の融合と「予防」へのシフト
はじめに:変化の時代を迎えた保険業界 保険業界は、かつて「生保(生命保険)」と「損保(損害保険)」という明確な二分軸の下で、それぞれ「人の生命や健康」「モノや財...
-
- 2025.06.30
台風予測
ロンドンの保険業界に向けて気象リスクの管理サービスを提供するコンサルティング会社から2025年の台風長期予報が発表されました。 ポイントをまとめましたので共有さ...
