かわら版Media
モデリング分析
再保険
自然災害の計量化のために用いられているのがモデルを使ったリスク分析です。
家財保険は自然災害の影響を受けない、と認識されてきましたが、ここ数年の豪雨、台風の影響を受けた事例がありました。また、適正なイベントリミットを設定する際、自然災害による集積リスクを考慮する必要があります。
「モデルを回す」と聞くことはありますが、そもそもモデルとは何か、どのような分析が可能なのかご説明いたします。
モデル分析を構成する要素は何か
分析にあたって、まずイベントの特定が求められます。地震か台風か、海外のケースでは竜巻、森林火災などもイベントとして取り上げられています。
特定したイベントの分析は、次の3つの要素で構成されています。
1. 物理的特徴の数値(地震動、風速、気圧など)
2. 被害予測(建物構造、築年数、用途などから過去被害事例による推定)
3. 財務損失評価(物理的な損害をもとに保険データなどを活用し財務上の損失を定量化)
これらを考慮して想定される損失額と発生確率を算定します。発生確率の算定で使われるのが、その事象が発生する平均の発生間隔である再現期間です。
日本では台風規模の指標として1959年に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風が使われます。
金融庁が損害保険会社に求めるソルベンシーマージン算出の際の巨大災害のリスク係数についての説明にも伊勢湾台風に相当する規模と前提を設け、再現期間を70年としています。
分析結果をどのように使用するか
分析を行うのは再保険手配の意思決定を行うために用いられていますが、それだけにとどまりません。重要性を増してくるのは保険会社としてのリスク管理体制の強化のための活用です。
温暖化の影響が顕著だと言われている台風、降雨のリスクを把握し、必要に応じて補償条件を見直していくことも保険会社に求められているのではと考えます。
2022年2月 記
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