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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による保険業界への影響
保険業界
新型コロナウイルス感染症は2019年末、中国の武漢市で検知され、その後、瞬く間に世界中に広まり、WHOは2020年3月11日にパンデミックを宣言しました。
再保険市場においても影響は甚大で、COVID-19に関連した損害額予想も出されています。例えばロイズでは史上最大のロスの一つとして位置づけ、2020年の請求額は62億ポンド、約9,600億円と報告しています。
経済への影響
人、物の移動が制限されたため、企業活動は縮小、停止を余儀なくされました。
2020年4月にIMFが発表した経済見通しでも先進国で2020年は6.1%マイナスとされ、1930年代の大恐慌以来の景気後退に陥り、この状況を大封鎖と表現しています。
日本国内でも、2021年5月18日に内閣府が発表 した2020年度の国内総生産は、実質の伸び率がマイナス4.6%となり、比較可能1995年度以降で最大の下落となりました。
しかしながら、新たな環境が社会、経済に いい影響をもたらした面もあると考えられています。その最たるものがデジタル化です。約2カ月で世界的なデジタル化の浸透を5年分飛躍させたと言われています。
保険業界への影響
COVID-19に関連した損害に対する支払額が史上最大規模になると試算されていますが、人、物、経済の動きが抑えられたことにより一般的な物損、人身損害は減少しました。
わかりやすい例は、昨年11月に発表された大手損害保険会社の自動車保険の保険金支払額です。2020年4月から9月の保険金支払いは前年度 の11%減でした。車による外出が控えられたために交通事故が減ったためと報告されています。
保険業界で損失額増加の最大の原因がイベント(興行)のキャンセルや延期による保険金支払いとされています。大まかな予測値としてですが、損害規模は60億ドル(約6,500億円)になるのではないかとされています。
財物保険、利益保険は間接的に影響があると考えられています。感染症は直接的な損害の要因とはなりません。しかしながら、生産施設が操業停止したことにより、通常の管理監督ができずリスクが高まると考えられています。またロックダウンで事故後のアクセスが制限されたことによる修復期間、コストの増加、それに伴う利益保険の損害額の増加なども考 察材料として再保険市場で取り上げられています。
2021年5月 記
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