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自然災害
再保険
日本は、地震含め自然災害の頻度が高く経済規模も大きいことから、自然災害のリスクが世界一大きいとも言われています。
近年は豪雨、台風による甚大な被害に何度も見舞われています。
自然災害、特に水害について考えてみたいと思います。

水害と保険
日本損害保険協会によると、支払い保険金額が最も大きかったのが2018年9月に関西を襲った台風21号で、1兆700億円、翌2019年には9月の台風15号、10月の台風19号が関東を主に襲い支払額は二つの台風合計で1兆500億円と報告されています。
このような損害に備えて各社は再保険手配を行っています。
再保険手配は自然災害に対する備えだけではありませんが、2018年には1兆1,740億円、2019年には1兆2,267億円もの額を再保険金として回収しています。
2000年から2018年までは2011年のみ受け取った再保険金が支払った再保険料を1,173億円上回りましたが、2018年、2019年は2年続けてそれぞれ2,548億、2,314億と受け取り再保険金の方が多くなりました。
再保険料高騰や火災保険料値上げの報道はこれらの状況によるものです。
地球温暖化との関連性
気象変化の要因の一つとして上げられるのが地球温暖化の問題です。異常気象は大気、海洋の平均的な状態が崩れた結果発生するとされますが、温暖化の影響について科学的根拠を持って説明することができていませんでした。
関連性を定量的に分析可能にしたのがイベント・アトリビューションという手法です。これは発生した特定の異常気象に対する人間活動の影響を評価しようとする試みです。
自然災害は、気候システムの中で自然発生するので、その発生が人間活動に起因すると断定することはできませんが、発生確率が人間活動によりどのように変化したかを評価し、関連性の分析を試みようとする動きです。
温暖化による影響の分析は世界的に行われており、様々なレポートが発表されています。国際的な気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は温室効果ガスの将来的な排出量により将来の平均気温の予測をしています。排出量が多ければ、2100年には1986年と比較して2.6~4.8度上昇するのではないかとの予測をしています。
山岳地帯が多い日本の特徴として土砂災害のリスクがありますが、土砂により河川がせき止められることで2次災害、洪水被害なども考えられます。気候変動による降雨の強度、頻度が高まることにより、このような被害の発生頻度の上昇、甚大化が懸念されます。
2021年7月 記
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